Tmとは
融解温度(Tm)は、プライマーの半分が標的に結合し、半分が離れている温度です。PCRのアニーリングはそれより少し低い温度に設定し、プライマーが正しい場所にだけしっかり結合するようにします。
3つの計算方法
- Wallace則(約14塩基未満の短いプライマー):Tm = 2 × (A + T) + 4 × (G + C)。手軽ですが、塩基の並び順やバッファーは考慮しません。
- GC含量の式(長めのプライマー):Tm = 64.9 + 41 × (G + C − 16.4) ÷ 長さ。GかCが10個の20塩基なら、64.9 + 41 × (10 − 16.4) ÷ 20 = 51.8 °Cです。
- 最近接塩基対法(最も正確):隣り合う塩基対ごとのスタッキングエネルギーを足し合わせ、プライマー濃度と反応液の塩で補正します。
バッファーが重要な理由
陽イオンはDNA骨格の負電荷を打ち消すので、塩が多いほどTmは高くなります。マグネシウムはナトリウムよりずっと影響が大きく、dNTPがその一部と結合します。前提とするバッファーが違うと、同じプライマーでも計算ツールによって5 °C以上違うことがあるので、自分の反応液のナトリウム、マグネシウム、dNTP濃度を設定してください。
アニーリング温度の決め方
2本のうち低いほうのTmより約5 °C低い温度から始めます。産物が出なければ下げ、余計なバンドが出れば上げます。グラジエントPCRなら1回で範囲を試せます。高正確性ポリメラーゼの一部は、専用バッファー向けにメーカー独自の目安があり、出発点が異なることがあります。
プライマー設計の目安
- 長さ18〜25塩基、GC含量40〜60%。
- 2本のTmの差は約5 °C以内。
- 3'末端はGかC。ただし末端5塩基のGとCは3個まで。
- 同じ塩基が4個以上続かず、自分自身やもう1本と対合する配列がないこと。
計算ツール
プライマーTm計算は、塩、マグネシウム、プライマー濃度を入れて最近接塩基対法で計算し、アニーリング温度の目安も示します。PCRプライマーの統計は3つの方法を比べ、ヘアピンや自己二量体、連続塩基を警告します。