式
加える液量 = バイアル内の質量 ÷ 目標濃度
単位をそろえます。mg ÷ mg/mL なら mL、µg ÷ µg/µL なら µL になります。
計算例
- ペプチド 5 mg を 2 mg/mL に:5 ÷ 2 = 2.5 mL。
- 抗体 100 µg を 0.5 mg/mL(0.5 µg/µL)に:100 ÷ 0.5 = 200 µL。
- 分子量 1,500 g/mol のペプチド 1 mg を 1 mM に:0.001 g ÷ 1,500 g/mol = 0.667 µmol、0.667 µmol ÷ 1 mmol/L = 667 µL。
バイアルに実際どれだけ入っているか
合成ペプチドの粉末は、すべてがペプチドではありません。トリフルオロ酢酸などの対イオンや結合水が重量の 10~30% を占めることが多く、分析証明書には「正味ペプチド含量 80%」などと書かれています。計算の前に総質量にこの割合を掛けます。5 mg で 80% ならペプチドは 4 mg です。タンパク質はデータシートで量を確認し、溶かしたあと 280 nm の吸光度で濃度を確かめます。
溶媒の選び方
- まずデータシートに従います。ほとんどのタンパク質や抗体は、水か、凍結乾燥前の緩衝液で戻します。
- 塩基性残基(K、R、H)の多いペプチドは少量の希酢酸に、酸性残基(D、E)の多いペプチドは少量の希炭酸水素アンモニウムに溶けやすくなります。
- 疎水性の強いペプチドは、まず少量の DMSO に溶かし、ゆっくり緩衝液で薄める必要があるかもしれません。システインやメチオニンを含むペプチドは DMSO で酸化されることがあるので避けます。
手順
- 粉末に水分が結露しないよう、開ける前にバイアルを室温に戻します。
- 軽く遠心して、粉末をすべて底に集めます。
- 溶媒をバイアルの壁に沿ってゆっくり加えます。
- やさしく回すか転がして、15~30 分置きます。タンパク質を強くボルテックスすると変性したり泡立ったりします。
- 濁りが残る場合、ペプチドなら短時間の超音波浴が役立ちます。それでも残る粒子は溶けていないので、遠心して上清の濃度を測ります。
保存
凍結融解のたびに活性が落ちることがあるので、1 回分ずつ分注して −20 °C か −80 °C で凍結します。約 0.1 mg/mL より薄いタンパク質はチューブの壁に吸着します。実験に影響しなければ、0.1% BSA などのキャリアタンパク質を加えると防げます。
計算ツール
凍結乾燥品の溶解計算は、目標濃度に必要な液量、または液量から濃度を、質量単位でもモル単位でも求めます。結果はタンパク質濃度の計算(A280)で確認し、作業液の希釈はストック溶液の計算で計画します。