式
倍加時間は、増えつつある集団が 2 倍になるまでの時間です。最初の細胞数 N1 と、時間 t が経ったあとの細胞数 N2 から:
倍加時間 = t × ln 2 ÷ ln(N2 ÷ N1)
ln は自然対数で、ln 2 は 0.693 です。血球計算盤で数えた細胞でも、OD600 で測った細菌でも、指数関数的に増える集団なら同じ式が使えます。
計算例
2 × 105 個を播いたフラスコが、72 時間後に 1.6 × 106 個になりました。
- N2 ÷ N1 = 1.6 × 106 ÷ 2 × 105 = 8。
- ln 8 = 2.079。
- 倍加時間 = 72 × 0.693 ÷ 2.079 = 24 時間。
手早い検算:8 は 23 なので、72 時間で 3 回倍加した、つまり 24 時間に 1 回です。
増殖速度と世代時間
増殖速度定数は k = ln(N2 ÷ N1) ÷ t、この例では 2.079 ÷ 72 = 0.0289 /時間で、倍加時間は ln 2 ÷ k です。微生物学では細菌の倍加時間を世代時間と呼びますが、同じ数値です。
代表的な値
- 37 °C の富栄養培地での大腸菌:約 20 分。
- 酵母:90 分から 2 時間。
- HeLa、HEK293、CHO 細胞:20 から 24 時間。
- 初代培養細胞や増殖の遅い株:30 から 60 時間以上。
信頼できる値を得るには
対数増殖期のあいだだけ数えます。播いた直後の細胞は分裂を始めるまで一時停止し、コンフルエント近くや古い培地の細胞は遅くなるので、どちらも見かけの倍加時間を引き延ばします。少なくとも 2 回の倍加を挟んだ計数を使い、毎回同じ方法で数え、接着細胞では生きて接着している細胞だけを数えます。播種密度と継代数で結果が変わるので、報告するときは併記します。
計算ツール
細胞倍加時間の計算は、2 回の細胞数から倍加時間、増殖速度、倍加回数を求めます。細胞数は血球計算盤の計算で、細菌の OD600 は OD600 計算で細胞数/mL に換算できます。